今回は斉藤和のアトリエの様子や絵を、そして斉藤和が描く障壁画についてご紹介したいと思います。
たんぽぽプロジェクト企画室のたんぽぽです。日本画家 斉藤和の応援ブログです。
斉藤和のTwitterはこちら。 http://Twitter.com/saitoukazu
斉藤和がアトリエで現在描いている絵は、、
『月のつつまれし』の制作途中です。
今描いているこの作品は、繰り返し描かれどんどん進化していってる絵の一つです。
同じ絵を描いても、やはり毎回違うそう。描いている季節、温度、湿度、時間によっても絵具の状態、渇き具合、のりかたなどが変わり絵も変わってきます。もっと言えば、その時の気持ちや年齢によっても、感じ方が変わっていけば、絵も変わっていきます。だから、絵は面白いんだと思います。同じ絵を描いても、同じ絵は一枚もないのです。
『月のつつまれし』医王山薬王寺所蔵
『月のつつまれし』の一番最初に描かれた作品です。
2002年に初めて障壁画として、広島の医王山薬王寺さんに納められました。とても大きな迫力のある作品です。
その当時ご住職さまは、大本山の京都嵯峨野にある大覚寺で修業をされておられました。ご住職さまからは、``竹と紅葉‘‘というご希望で、ご依頼を頂きました。ご住職さまの修業をなされているその大覚寺の道場を描きたいと斉藤和は思い、近くを散策し見つけた場所だそうです。
『月のつつまれし』は大覚寺の大沢池と紅葉を題材にしています。
紅葉は線のみで色はいれていません。その理由とは。。
紅葉が月光に包まれているのか、月の光が紅葉に包まれているのか、池が両方に包まれているのか、、、答えが出ず、どれも描いてはいけないと、紅葉は色を塗らないと決めたそうです。小さな平筆で点を打ち立てて描いています。
182㎝×364㎝の大きさの画面を、点の描写で表現。。想像しただけでも震えてきます。そこから生まれたこの紅葉の美しさ、光の神々しさ、、。
住職さまは、自分が見た風景が広がっていて驚かれたそうです。斉藤和の洞察力は並大抵ではないとおっしゃいます。
第二回ブログ「アトリエに陽がこぼれる」でもご紹介しましたアトリエの様子。その中で描いていた『陽のこぼれる』。
それを最初に描いたのが、『月のつつまれし』と一緒に納めさせて頂いたこの絵です。
『陽のこぼれる』182㎝×364㎝
京都大覚寺近くの竹林です。この作品も、竹であって、竹は一つも描いていないそうです。枝も葉も無く、無数の点で天然緑青を使い、実際に見た陽がこぼれてくる印象を表しています。
広島の薬王寺さんでは皆に見てもらいたいと、この障壁画を玄関に、2枚を半年ごとに交代しながら飾って下さいます。お客様は「見ていて気持ちがいい。生きて動いているようだ」とおっしゃって下さるそうです。
実は昨年、美術雑誌「月刊 アートコレクターズ 7月号」にて、斉藤和と医王山薬王寺住職さまとの対談が実現しました。
ーーー斉藤和 初奉納の障壁画との再会ーーー
斉藤和(日本画家) ✖ 仲井妙蓮(医王院薬王寺住職) 特別対談
その中で、ご住職仲井さまの話がとても素敵なので少し抜粋して、、
『「陽のこぼれる」から何を学ぶか、尋ねられたことがあります。真言密教には梵字または悉曇(しったん)という文字があって、最初に筆を下ろすところを命点と言います。発心点とも呼ばれる命の元です。先生の絵を拝見すると、それがたくさん集まっている。どれが命点なのかわかりませんが、それらが重なって竹が出来ている。ひとつの世界は自分だけではなく人という点が集まって社会ができる。この絵からはそういったことを感じます。』
❀雑学メモ❀ 『医王院薬王寺』は、広島県東広島市黒瀬町にあります。写経道場や占術士や四柱推命、終活ガイドの資格もお持ちです。ご参拝をご希望の方は、ホームページをご覧のうえご参拝ください。写経などは要予約です。
医王山薬王寺
アトリエ風景に戻ります。
アトリエ風景と、スケッチで小さくなった鉛筆達です。
壁にかかっている絵は『水』シリーズ。斉藤和の抽象画は、数が少ないので貴重です。
『水』
『水』
『水』
アトリエの近くに、お酒の神様「松尾大社」があります。
お酒の神様という事はお水が命。その松尾大社の中に瀧が流れ、その傍に湧き出るお水があり、斉藤和は朝、よくそのお水を頂きに行きます。ある時、その場所に立つと覚える不思議な感覚を絵にしたいと思ったそうです。どう描くか苦慮していた頃、「水神さまを身近におきたい」という絵のご依頼を頂いて重なり生まれたのが、この水シリーズです。この作品も、今まだ進化中です。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
今日も素敵な一日になりますように!